シャドウ・オブ・メモリーズ

 

 

プロローグ

 主人公アイクは、ある日突然何者かに襲われ、命を落としてしまう。薄暗い、奇妙な空間で目を覚ましたアイクは、ホムンクルスと名乗る人物の、「自らの運命を変えたいのなら…」という呼びかけに応じ、時間を超えるアイテム「転送機」を手に入れる。再び目を覚ましたアイク。そこは殺される30分前に過ごした喫茶店の中だった。アイクは自分の持つ「死の運命」から逃れるため、時間を越えて奔走することになる…。

 

 

どっこい生きてるタフな奴。(元ネタが古い)

 まあ、この場合は生きてる、というよりも何度死んでも復活する、といったほうが正しいです。この「シャドウ・オブ・メモリーズ」というゲーム、コナミより発売のアドベンチャーゲームです。私もよく読む有名な作家、宮部みゆき氏推奨とパッケージの裏に記されています。このゲームを買った理由としては、その宮部氏推奨ということ、よくいくレビューサイトでも紹介されていてますます興味がわいたこと、さらに値段が中古で690円だったということが挙げられます。ちなみに余談ですが、エコーナイトのほうも900円程度で手に入れています。中古っていいもんだ。

 

 

 このゲームは全10章から構成されていますが、ほぼ大半の章の始めでアイクは命を狙われ、殺されてしまいます。そのたびに最初の奇妙な空間に飛ばされ、その後復活、時間を越えて死をもたらす者や出来事から回避する方法を探ります。過去での行動が現在の状況を変えることになり、それによって死から逃れるというのがゲームの大筋です。

 大きなテーマとなるのが「時間移動」。この時間移動をテーマにしたゲーム、他には有名どころで、名作RPG「クロノ・トリガー」があります。あのゲームも過去での行動が現在・未来と深く絡み合い、世界を救うというものでした。この「シャドウ〜」では、世界レベルだった「クロノ〜」よりスケールはグッと小さいです。移動できるのは主人公アイクに関する過去で、場所も舞台となる街の中のみ。しかも、いつでも移動できるというわけではありません。いろいろ制限は多いですが、だからこそ自分の身に迫っていることを実感できますし、アイクの行動理由「まだ死にたくない」というのも共感できていいです。

 アイクが死ぬ「運命の時間」までに死を回避できないとアイクは殺されてしまいます。しかしゲームオーバーではなく最初の奇妙な空間に戻されて、ホムンクルスからヒントをもらい、再び復活。ただし、時間移動して過去にいるときにこの時間が来ると、強制的に「時間の狭間」に飛ばされてゲームオーバーです。また、過去(あるいは未来)の自分と直接接触した場合もゲームオーバー。タイムパラドックスをうまく利用していますね。

 ストーリーは中々しっかり作られていて、過去の行動が意外なところで現在に繋がっていたりしていて面白いです。この時代でやったことが、後々に効いてきて、後から納得することもしばしば。時間移動といったSF的要素だけでなく、中世の錬金術が絡むファンタジー的な要素、そして何より、執拗に命を狙ってくる犯人は誰なのかというミステリー要素がうまくからまっていて先がとても気になります。主人公のアイクをはじめ、登場人物たちはみんな英語で喋り、字幕が下のほうに出ます。なんだか映画でも見ているみたいです。エンディングは数種類あり、何度も楽しめるのも嬉しい。

 ストーリー上の大きなカギは「赤い石」です。ホムンクルスと名乗る人物がいたり、錬金術師や関係者が出てきたりしていますが、説明書を読んだ時点で、ファンタジーゲームやマンガ等を少しでも見たことある人ならすぐに気がつくでしょう。この赤い石、お察しのとおり「賢者の石」です。これがどうアイクと関係するのか、ゲームを進めるとわかっていきます。メガネの魔法使いや手だけで練成できる錬金術師は出てきませんけど(当たり前だ)。

 

 舞台となる街、レーベンスバウムがとても素敵です。いかにも西洋のお洒落な街といった感じ。あんな街なら私もアイクのようにリピーターになるかも。この街を軸に時間移動をするんですが、数時間前まで戻るときもあれば、前日に移動する場合もあり、さらに20年ほど前や100年前、何と中世時代の500年代まで移動することも。街の様子もそれぞれ違っています。お気に入りは20年ほど前の時代。雪に包まれていて、モノクロの様子がまるで別世界みたいでした。ただ、自分の現在地がわからなくなるのが難点か。

 

 

主要な登場人物

アイク・カッシュ

 このゲームの主人公。以前訪れた際、この街を気に入り、以来何度も訪れています。素直な性格の青年ですが、自分のことはあまり語らず少し影があるとのこと。理由もわからず命を狙われまくり、死にまくり、そして生き返る忙しい人。それでも、正体不明のホムンクルスの言葉を頼りに時間を越えて奔走します。死を回避するため、他人の家からいろんなものを拝借したり、スタントマンも真っ青のアクションをやってのけたりしますが、犬に唸られると先に進めないことも。度胸があるのか無いのかよくわかりません。手ぶらで走り回りますが、ゲーム中いろんなものを手に入れます。ポケットから取り出すことが多いのですが、転送機にメモ帳にマップに携帯電話にライターに、他にも色々、あんなにたくさん入るワケがない。ドラ○もんかお前は。ホムンクルス以上に謎の存在だったりします。

 

ホムンクルス

 アイクに転送機を与え、死なないように協力してくれる謎の人物。一人称は「僕」と言っていますが、性別すら判別がしづらいです。美人なことは確かなんですが、顔色が悪くて何だか気味が悪い。「あんたに死なれると僕も困るんですよ」とアイクに協力してくれますが、理由ははっきり述べないためアイクも怪しんでいる様子。「時間を統べる力」を持っていたり、いきなり何も無いところから現れたり、明らかに普通の人間ではありません。、おまけにその人を食ったような言動には信用しろと言う方が無理。しかしこの状況でコイツ以外に頼れるものはいないのが現状です。う〜ん、ジレンマ。アイクも大変です。

 

ダナ

 アイクが最初に目覚めた喫茶店で働いている女の子。身寄りが無く、少々臆病でおとなしいが芯はしっかりしているそうです。説明書の紹介で、「あまり自分以外のことはかんがえていないところがあり、自分は誰からも理解されない孤独な存在なのだといつも悩んでいる」と書かれていたので、そんなに独りよがりなタイプなのかと思っていましたが、ゲームを始めてみると意外とそうでもなく、ちょっと感情的になってもちゃんと相手に謝るし、そんな勝手な女の子とは思いませんでした。なんだ、いい子じゃん。しかし、アイクに忘れ物を届けに来たばっかりに偶然時間移動に巻き込まれ、行方がわからなくなってしまいます。この子も不憫だ。アイクが彼女と再会できるのは…?

 

マルガレーテ・ワーグナー

 中世時代の町で出会う、錬金術師の娘。中々の美人。説明書曰く、「明るく、思ったことをすぐに行動に移してしまうタイプ」。もっとはっきりいってしまえば、後先考えずに行動する性格。アイクと最初に出会った際、窮地に陥っていましたが、あれはどう考えても自業自得だとしか思えない。アイクやアイクの住む現在の時代に興味を持ち、アイクへは淡い好意めいた思いを寄せている節が。しかし最初の印象があまり好きになれなかったのと、私がダナ贔屓なせいで正直いい思いはしなかったです。でもゲームを進めると少しずつ悪印象が和らいでいきました。なんだかんだいって、憎めない女の子です。

 

フーゴ・ワーグナー

 マルガレーテの弟。家庭を顧みずに研究に没頭する父親に反発、病気の母親への心配と複雑な心境を抱える難しい年頃の男の子。最初は無邪気な面が見えましたが、母親が病死するとだんだん素直でなくなっていきます。母親想いな故に、あそこまで父に研究に没頭されると無理もないかも。しかし母親の死後、注意する姉に激しく怒ったりし、手がつけられなくなるときが。何というか、切れると止まらない今時の少年です(この子は中世時代の子です)。姉をからかうときには歳相応の幼さが見えますが、頭の回転は非常に良く、とても賢い少年です。多分お姉さんよりよっぽど頭がいいと思います。

 

占い師

 街の片隅で占いの店を開いている占い師。顔をベールで覆っていて、ものすごく怪しいですが、アイクの 「運命の時間」を教えてくれる頼りになる存在。こんなにドンピシャ当てられるのに、なんで店は繁盛してないんだ。画面左上には現在の時刻、時間移動している場合には、下にその時代の時刻が表示されています。運命の時間を教えてもらうと、それまでに回避の方法を探るのですが、時刻を見ながら後数十分、後数分、と考えていると、まるで時限爆弾をセットされたみたいで心臓に悪いです。というか、ほとんどそのとおりなんですがね。ちなみにこの占い師、前日や数十分前に時間移動した際に会いに行くと、アイクがこの時間の存在ではないことも一発で見抜きます。本当にすごすぎる占い師です。でも、当たり過ぎて逆に怖い。繁盛していない理由も、もしかしてそれだったりして。

 

エッカート・ブルム

 街にあるブルム美術館の館長。アイクの友人でもあり、何かと親切にしてくれます。過去に非常に辛い事件に遭遇したそうです。この美術館、何かとアイクの役に立ってくれます。もちろん館長さんも。しかし、美術館内で迷いまくったのは館内が複雑なのか私が方向音痴なのか。彼に会おうと館長室に向かったのですが、ひたすら館内をさまよい、部屋に着いたのは美術館に入って約10分後でした。よくよく思い出すと階段上ってすぐという非常に近い場所にあるのに、何であんなに迷ったんだか。やっぱり方向音痴のせいか。そして館長、美術館であんなに猫を飼っていていいんですか?もし展示スペースに入りこんでイタズラされたらとんでもないことになると思いますが。

 

そのうち、エンディング解説なんかもしようと思います。

 

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